吹奏楽コンクール課題曲 打楽器ワンポイントレッスン
吹奏楽のための「幻想曲」ーアルノルト・シェーンベルク讃
※良い音でお聴きいただくために、動画の視聴にはヘッドフォンやイヤフォン、またはオーディオ用スピーカーの使用をおすすめします。
本編映像中使用楽器 | |
ティンパニ | マジェスティック/GRシリーズ |
ヴィブラフォン | マジェスティック(日本未発売品) |
スネアドラム | マジェスティック/MJ-MPS1465MB |
サスペンド・シンバル | 小出シンバル/10J-in18CSM |
シズル・シンバル | 小出シンバル/808-S19CSM+K.M.K/トライアングル・ビーターKK-TB1×2 |
グロッケンシュピール | スタジオ49/SD-RGST/K/V |
ウィップ | スタジオ49/SD-RP2 |
マラカス | ソナー/SN-MMBR |
バスドラム | レフィーマ/LF-BD36S |
ラチェット | サウンドキング/KU-RAT |
ラージ・ゴング | K.M.K/KG-36 |
トライアングル | スタジオ49/SD-Ti3 |
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Timpani
:ティンパニ
15小節目のロールは、奏しているところが頂点ではなく、直後の16分休符に本当の頂点があると思います。自ら絶つのではなく、絶たれるようなクレッシェンド。ギリギリまでそのエネルギーを失わないように攻めましょう。
【6】からの四分音符は休符を伴っていますが、このH音(【8】からはE音)が「持続している様」が大切で、休符のたびにマフリングしながら進むより、この音=杭を打ち続け、響きを常に前進させる方が合っていると思います。
【9】から。小太鼓の16分音符を鼓舞しながらtuttiの「温度を上げてゆく」ロール。D音の大合唱となる75小節目に向かい、唯一cresc.が指示されたtimp.の響きで、その熱を高めてゆきましょう。
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Percussion 1
:ヴィブラフォン/スネアドラム
ヴィブラフォンと小太鼓、どこにセッティングしましょう。ホルンの弱音に隠れて忙しく移動するのは曲想に合わず。自由曲によっては他のアイデアもあるでしょうが、この曲に関してだけ言えば「小太鼓をどこにセッティングしたいか」でヴィヴラフォンの位置を決める方がいいと思います。当然近くに、です。どちらもこの曲の中では軸になるようなところがありますので、あまり舞台の端に行くと全体のアンサンブルが難しくなるかもしれません。
ヴィブラフォン
【1】からの鍵盤群がもたらす秩序が、全体の灯台になっています。14、15小節のチューブラベルも含め、この光が全体を照らすリズムであり続けることが、15小節目へ音が高揚してゆく原動力です。
【3】前後の鍵盤群、この連符が「どこに行きたがっているか」という前提のもと、音量だけ変化させるのではなく、音空間の拡大と開放(解放)を目指したいところです。
映像中使用マレット・スティック | |
ティンパニ | K.M.K/KK-TMK14 |
ヴィブラフォン | バルター・マレット/MB-B46R×2 |
サスペンド・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
シズル・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
グロッケンシュピール | バルター・マレット/MB-BGP2 |
バスドラム | K.M.K/KK-BMDY04+03 |
ラージ・ゴング | バルター・マレット/MB-BGB3 |
スネアドラム
【7】からのロールと装飾は、動画の奏法、手順やタイミングを参考に、音色を使い分けてみましょう。
最後はffffまで到達する小太鼓(16分音符)の放銃から、押し寄せるB♭durの進軍、遮断する警笛。ここに至るまでの緊張の高まり、脈拍の加速こそが、このダイナミクスが示す意思そのもの。一方通行の音量増加ではなく、上下左右、縦横斜めと、まさに縦横無尽に駆け上がる、押し寄せる熱量が求められます。もはや尋常ではない、のです。最後の8分音符3つも、ただのパルスではなく、クラリネットを躍らせるリズムになるといいですね。
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Percussion 2
:サスペンド・シンバル/シズル・シンバル/グロッケンシュピール/ウィップ
シズル・シンバル シズルシンバルは、スタンドのティルター部にトライアングルビーターを引っ掛けたもの、コインを紐で垂らしたもの、あるいはシンバルそのものに加工されたものなどあり、動画ではトライアングルビーターを使用しています。ビーターの太さや本数によってシズル感が変わりますので、ぜひ試してみてください。マレットはソフトとありますが、その硬度より、どういう響きを出すべきかを求めたいところ。
映像中使用マレット・スティック | |
ティンパニ | K.M.K/KK-TMK14 |
ヴィブラフォン | バルター・マレット/MB-B46R×2 |
サスペンド・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
シズル・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
グロッケンシュピール | バルター・マレット/MB-BGP2 |
バスドラム | K.M.K/KK-BMDY04+03 |
ラージ・ゴング | バルター・マレット/MB-BGB3 |
グロッケンシュピール グロッケンという楽器は単体ですが、ヴィヴラフォンに輝きを与えたり、高音木管に色を重ねたりと、その役割は何役にも渡ります。ぜひその役ごとに見合う音色を求めて。10小節目の鐘のような音、深い色が欲しいですね。55小節目からの3連は、拍にはめず、その即興性を失わないように。
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Percussion 3
:マラカス/バスドラム/ラチェット
バスドラム 底深い響き、ロールの陰影、ここぞの1打など、大太鼓の魅力が詰まったパートです。「楽曲について」でも触れましたが、後半がお気楽なピクニックではないことを、この大太鼓の音色で語って欲しいですね。序盤の銅鑼と共に深まる音色、【4】からは、奈落の底から少しずつ現れ、やがて定速で刻み始めるも、決して歩みを進めるものではなく、むしろ鎖につながった重石のごとく。63小節目から増え続ける2拍3連との対峙も、この作品の見所だと思います。これらはすべて4分音符ですが「そうではない」意味と意義を、ぜひ見出してください。
映像中使用マレット・スティック | |
ティンパニ | K.M.K/KK-TMK14 |
ヴィブラフォン | バルター・マレット/MB-B46R×2 |
サスペンド・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
シズル・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
グロッケンシュピール | バルター・マレット/MB-BGP2 |
バスドラム | K.M.K/KK-BMDY04+03 |
ラージ・ゴング | バルター・マレット/MB-BGB3 |
ラチェット ラチェットはむやみに回さず、歯車の回転をコントロールしながら、「極上の豆を挽く」ようなつもりで。
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Percussion 4
:ラージ・ゴング/チューブラーベルズ/トライアングル/サスペンド・シンバル
ラージ・ゴング 序盤の空気というか匂いというか。銅鑼の音が、そのカギの一旦を担っているのは間違いなく、洞穴の奥底から響くような重厚な音も、あたりを覆う濃霧の広がりある音色も、管楽器との組み合わせの中で、好みに応じて、その成分をじっくり吟味したいところです。
映像中使用マレット・スティック | |
ティンパニ | K.M.K/KK-TMK14 |
ヴィブラフォン | バルター・マレット/MB-B46R×2 |
サスペンド・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
シズル・シンバル | バルター・マレット/MB-B48R |
グロッケンシュピール | バルター・マレット/MB-BGP2 |
バスドラム | K.M.K/KK-BMDY04+03 |
ラージ・ゴング | バルター・マレット/MB-BGB3 |
サスペンド・シンバル 【5】からのサスペンデッド・シンバル、マレットの指定がありますが、Perc.2に記したものと同じく、どんな筆であっても求められる音に答える・答えようとする工夫も、打楽器奏者にとって大切な技術の一つです。特にこのパートは、クライマックスに向かって、鎖を引きずるような金属音の高まりが重要になってゆきますので、局面だけではなく、後半の全体像を描ける筆を求め、腕を磨き、ぜひその創意工夫を楽しんでください。