課題曲Ⅰ

夕映えの丘

作曲:森山至貴(第35回朝日作曲賞受賞作品)

物語性に富んだ楽曲、 呼吸とフレーズ感を共有し、 歌うように奏でる音楽

レッスン執筆 金子泰士 読売日本交響楽団打楽器奏者
金子泰士
楽曲について

作曲者の森山さんは合唱曲をたくさん作られたということもあり、メロディーや和声進行に歌心の溢れた素敵な作品になっています。楽譜通り演奏した上で、管楽器の息遣いやアーティキュレーション、フレーズ感に寄り添うような音作りがとても大切です。音程のある打楽器は、楽譜に書いていないスラーやスタッカートなどを管楽器と共有できるといいですね。音程のない打楽器も、管楽器が上行音形なのか下降音形なのかで音色が変わってきますし、フレーズの始まりと終わりでは音の作り方が変わってきます。パート譜だけでなく、スコアもしっかり読み込んで演奏してみましょう。

物語が想像しやすい作品ですので、バンド全体で音楽の方向性を共有すると一体感のある演奏になると思います。

金子泰士アーティスト画像

©読売日本交響楽団

演奏へのアドバイス
Timpani
ティンパニ
・Timpani

[4]の四拍目は、音が跳ねないように注意しましょう。イメージとして、「トットト」というよりは「トントト」のように。

[38]は、管楽器はfpになっています。叩いた直後に響きを止める必要はありませんが、発音をハッキリさせてスピード感のある音色で演奏すると同じニュアンスになります。

[48]のソロは見せどころですね。ffを力任せに叩いてしまうと、音程が聴こえづらく固い音色になってしまうので、手首は柔らかく使いつつ腕の重さを使って演奏してみましょう。ロールでクレッシェンドする時は、手数を必要以上に増やして表現するのではなく、響きを増やしつつ広がるようなイメージで演奏すると曲の雰囲気にあうと思います。

[78]、最後の音を演奏したら響きが残らないよう音を止めましょう。

Percussion1
スネアドラム ウィンドチャイム トライアングル
・Snare Drum

まずチューニングですが、マーチを演奏するようなパリッとはつらつとしたサウンドではなく、少し湿度感のあるサウンドを目指しましょう(ただし細かいリズムはハッキリ聴かせられるように注意)。ロールも、手数を増やしてゴリ押しせずに響きを大切に演奏できるといいですね。あらかじめロールの手数を決めておくと、テンポ感もよく演奏できます。

[44]からは直前のアッチェレランドを引き継ぎつつ、トロンボーン、低音楽器とアンサンブルをしっかり取りましょう。ここのリズムは転びやすい傾向がありますので注意しましょう。音符のない2拍目、4拍目を意識する事が大切です。

・Wind Chime

音楽の節目に音が書かれています。音楽がどこに向かっているのかを意識できるといいですね。ウインドチャイムは、必ずしも端から端まで弾く必要はありません。場面に合わせてそれぞれイメージしたものを自由に演奏してみるといいかもしれませんね。

曲の最後の音は、管楽器に合わせて響きをしっかり止めましょう。楽器に付属のストッパーがない場合は、スティックに布を巻き付けるなどして優しく止めましょう。

・Triangle

トライアングルの音色は、明るい発音のはっきりとした音色より、しっとりとした倍音のたくさんある音色の方が曲にマッチすると思います。「チーン」よりは「ジーン」といった音色を探してみましょう。また、pで書かれている場合でも、あまり細いビーターを使わずにしっかりと楽器を鳴らせる太めのビーターを使って楽器を鳴らす意識が大事です。

Percussion2
合わせシンバル サスペンドシンバル バスドラム
・Crash Cymbals

この曲のクラッシュシンバルは、いわゆる効果音的な要素とハーモニーの一部分を担う要素に分かれているように思います。

[3]は明るい音色で、これから始まる物語のページを開くようなイメージで。

【F】からは、もちろんシンバルのいい音を出す事も大事ですが、管楽器のコード進行を意識すると音楽にマッチした音色で表現できると思います。

・Suspended Cymbal

クレッシェンドは自分だけで完結せず、その頂点から始まるフレーズや入ってくる楽器に流れを引き継ぐ意識を必ず持ちましょう。例えば[7]、ウインドチャイムの音を引き出しつつ[9]からのメロディーを意識してみましょう。[60]も【F】から始まる堂々としたメロディーを、【G】に入りさらに拡大させるようなイメージで演奏してみましょう。

・Bass Drum

楽器を深く鳴らし響きをしっかり出すように意識しましょう。

[46]から2小節間は、クレッシェンドで管楽器を追い越さないように注意。

[48]からは、「ドンッ」といった打楽器的な音色を多くしてアクセントをしっかり表現しましょう。

逆に[66]は、チューバやコントラバスなどの低音楽器の音色に合わせるように演奏してみましょう。

Percussion3
グロッケン タンバリン シロフォン
・Glockenspiel

キラキラとした音色を出したいですが、音が固くならないよう注意したいです。一緒に出てくる楽器に色を付け足してあげるようなイメージで演奏してみましょう。

全体的に低めの音域が出てきますが、マレットのスピードが早いと発音が痛くなってしまうので気をつけましょう(楽器によりますが五線の中のFより下の音)。

・Tambourine

出てくる回数は少ないですが、大事な場面に登場するため、効果的に演奏する必要があります。

[21]はロールの始めもタンギングをするように軽くついてから演奏してみましょう。

[46]からは、遅れないように前からの流れにそってアンサンブルしましょう。クレッシェンドは最初からかけてしまうと少しキャパオーバーになってしまうので、最初の小節はほんの少し、[47]からしっかりクレッシェンドするとより効果的になると思います。

・Xylophone

トランペットと一緒に演奏する事が多いので、明るく軽やかな音色で演奏しましょう。

[67]からのロールは、ガシガシ弾きすぎると浮いて聴こえてしまいます。3拍目最初の音を弾いたら、響きを繋げるように軽くロールしてみましょう。

【H】からは、三連符の音が潰れてしまわないように気をつけましょう。3つの音が均等にしっかり聴こえるようにしたいですね。

楽器選びのアドバイス
楽器名 アドバイス/楽器 弊社該当商品 アドバイス/マレット類 弊社該当商品
Timp ティンパニ 余計な倍音が出ないように丁寧にチューニングしましょう。響きと打音がバランスよく聴こえるよう叩く場所も探してみましょう。 Majestic/Symphonic Series ミディアムからソフトの響きが豊かに出るようにしましょう。 K.M.K/KK-TMK01~05CREED/CR-Timp101~105
Perc 1 スネアドラム 5インチから6インチの深めの楽器がおすすめです。 SONOR/SQ-1406SD-MHIMajesic/MJ-MPS1465WA ローズウッドなどの、響きをしっかり出せるものにしましょう。 K.M.K/KK-CSJ, CSJ2, CSJ6
ウィンドチャイム 響き、倍音ともに豊かな楽器を選びましょう。 Treeworks/TW-TRE630Treeworks/TW-TRE35
トライアングル 落ち着きのある柔らかいサウンドの楽器。 K.M.K/KK-TCS812CGROVER/GV-TRBPH7 倍音がしっかり出しやすいよう太めのビーターがいいですね。 K.M.K/KK-TB05GROVER/GV-TBBS
Perc 2 合わせシンバル あまり薄過ぎず、倍音豊かな楽器。ミディアム以上がおすすめ。 小出/11S-in18CCM小出/CAD-18CCM
サスペンドシンバル 18インチで重厚な響きの楽器。 小出/CA-18CSM小出/808-S18CSM ロールがしっかり繋がり音の粒が聴こえないマレット。 Ron Vaughn/RVN-CymM4R, 5R
バスドラム 響きがしっかり出せるような深めの楽器。 Majestic/MJ-BD3622S 頭にしっかり重心があるマレット。 K.M.K/KK-BMDY-CWLK.M.K/KK-BMDY05
Perc 3 グロッケン 音板が厚めのもので、サスティーンがしっかり出る楽器。 Majestic/MJ-B626S 硬すぎず少し頭が大きめのマレット。 K.M.K/KK-MGL28Acoustic Percussion/AN-OS2S
タンバリン 明るく歯切れのいいサウンドの楽器。 GROVER/GV-T2GSGROVER/GV-T2HTSHarlan/HL-T10DUGS
シロフォン 軽やかさもありつつ、鳴りのしっかりした楽器。 Majestic/MJ-X6535H 頭の大きさは小さすぎず、響きもしっかり出せる木のマレット。 Acoustic Percussion/AN-HBX1~4AN-HBX1S~3S
拍子の違いを理解しよう
他のパートの動きを理解して演奏しよう