作曲:伊藤士恩

J.P.スーザを彷彿させるクラシカルな行進曲のリズム動機で構成されている作品です。作曲者の伊藤士恩氏がスコア序文にて「リズムのモチーフ( 動機) が曲の推進力を生む」と仰っているように、行進曲においてリズムは最も大切といっても過言ではない要素です。打楽器奏者がスコアを読み込み楽曲を深く理解することで全体のサウンドが引き締まります。
この作品に限らず、特に行進曲の打楽器のパート譜は、それだけでは情報量が少なく無表情な演奏になりがちです。必ずスコアに目を通して、各場面どの楽器とアンサンブルしているのか、どのようなアーティキュレーションで他楽器が演奏しているのかを把握することが大切です。同じダイナミクスやリズムで記譜されている場合でも、同じ音で演奏すればよいとは限りません。その場面で奏でられているサウンドの中にどう自分の音を位置させるか、吟味して演奏することによって、無表情ではなくワンランク上の演奏になると考えます。
©井村重人
下から3台で演奏可能です。23インチも加え4台であれば音替えは不要ですが、26インチでB♭を取るよりも音替えをして29インチで取った方が良い音色を得られやすいかと思います。曲中のティンパニの登場回数は少ないですが、要所要所でサウンドを引き締める重要な役割を担っています。
【B】の1小節前やTrioの1小節前などは、音が伸びっぱなしになると直後の他楽器の穏やかな動きを隠してしまうので、適切なマフリングを心がけましょう。【M】からの4小節はロールのみにアクセントが付いていますが、その前の16分音符もリズムの輪郭を明確することを意識するとよいでしょう。
軽快で明るい曲調であり、【I】などの弱奏部でも軽くて歯切れ良い印象が必要です。そのためチューニングが低くなり過ぎないように注意しましょう。スナッピーの締め具合も重要です。張力が緩過ぎると強奏時の細かい音の歯切れが悪くなりますし、逆に締めすぎると弱音での反応が鈍くなります。
【A】からのリズムパターンは1 拍毎ではなく2拍のまとまりを意識しましょう。同様にTrioはシンプルな裏打ちになりますが、長いフレーズ感をもって演奏してください。
【G】,【H】,【I】,【J】の各6小節前のロールは、管楽器のスラーに沿わせる意識で。Trioは基本的に音量は小さめですが、【I】のピッコロソロ中はもう一段階背景に回るイメージで。ピッコロにスポットライトを当てる意識で演奏すると良いと思います。
ソリスティックな音色と、刻みとして他のパートを邪魔しない持続的な音色を両方研究する必要があります。
【A】の1小節前の、1拍目の音を止めた直後に小さい音量ですぐに叩く場面など、技術的にも難しさがある譜面になっています。ffで奏でて身体でミュートした際に、次のmfを奏でられる開き具合になっていることが大切です。このリズム動機は曲中に何度も登場しますので、さまざまな音量で対応できるよう基礎練習をしましょう。
【J】の1小節前のsoloはTrioの流れを断ち、【J】からの展開を予期させる「ショック」です。【J】の頭ですぐ次の音を奏さなければなりませんが、soloらしい印象的なサウンドで鳴らしましょう。
バンドの推進力を保ち続ける重要なパートです。TubaやString Bassなど、同じ動きをしているパートに輪郭をつけたり、響きを補強する意識で演奏すると良いでしょう。セッティング上、他のベースラインのセクションの配置が遠い場合、聴きながら演奏すると時差により音楽が停滞する原因になります。自らがバンドの心臓として全体を先頭で動かし続ける意識があるとよいと思います。
シンバルと同様、余韻が長い楽器なので音価の管理が重要です。左手を打面に接する面積を調整するなどして、適切なマフリングを模索してみましょう。アクセントとノンアクセントの音色を明確に分けると、メリハリが生まれるはずです。
管楽器のアーティキュレーションを参考にして、一緒に歌う意識で演奏しましょう。
【G】一小節前からのメロディは休符が多く書かれていますが、音楽の流れがそこで止まっているわけではありません。4小節毎などの長いフレーズ感で演奏することを心がけましょう。
こちらもGlock同様、「叩く」意識ではなく管楽器と同じく「歌う」イメージで演奏できると良いでしょう。
音板の打点もとても重要です。特に黒鍵を奏する際は共鳴管の上を狙っているつもりでも、角度の関係で実は共鳴管の上を演奏できていないことがあります。紐の上などのよく響かない打点で演奏してしまうと、音色が不揃いなメロディになってしまいます。注意してゆっくり丁寧に練習してみましょう。
この作品では最後に3小節のみトレモロで登場します。トレモロは「たくさん叩く」意識ではなく、「響きを繋げる」意識で演奏すると良いと思います。
打楽器全般に共通して言えることですが、減衰してしまう音を持続させるためにロールやトレモロといった奏法がありますので、伸ばしたい音色を単音でまず奏でてみてから、その響きをロールで持続してみるという二段階に分けた練習をすることをお勧めします。
| 楽器名 | アドバイス/楽器 | 弊社該当商品 | アドバイス/マレット類 | 弊社該当商品 | |
|---|---|---|---|---|---|
| Timp | ティンパニ | 音程感が明瞭であればよいと思います。 | Majestic/Symphonic Series | 明るく明瞭なアタックかつ、低音の音程感もハッキリ得られるもの。 | K.M.K/KK-TMK01~05CREED/CR-Timp11~15 |
| Perc 1 | スネアドラム | 歯切れがよく、軽快な音色。深胴すぎないもの。 | SONOR/SQ-1405SD-EHIMajestic/MJ-MPS1450MB | ロールの時に、柔らかい音色の場面でも強奏部でも、スムーズに繋げやすいものを選びましょう。 | VATER/PiccoloVATER/Piccolino |
| Perc 2 | 合わせシンバル | 薄すぎず、明るい音色としっかりとした鳴りを両立しているもの。 | 小出/808-S18CCM | ||
| Perc 3 | バスドラム | 弱音や柔らかいタッチでもサウンドがまとまり低音も得られるもの。 口径が大きすぎず、深胴すぎないものの方が扱いやすいかと思います。 |
Majestic/MJ-BD3622S | 弱音でもアタックと低音が両立できるもの。楽器に対して大きすぎる・柔らかすぎると輪郭がボヤけて推進力が失われ、小さすぎる・硬すぎると低音が得られずベースラインと親和性に欠けます。 | K.M.K/KK-BMDY04K.M.K/KK-BMDY-CWL |
| Perc 4 | グロッケン | 煌びやかな音色と、はっきりとした音程感のあるもの。かつ弱音も柔らかく鳴るものがよい。 音をはっきり止めたい場面が多いので、必須ではありませんがミュートしやすいものも扱いやすいかと思います。 |
Majestic/MJ-B626SMajestic/MJ-B526S | 軽やかで優しいメロディに適したものと、細かいパッセージもハッキリ聞こえる小さめなもの。音程感を損なわないことが大切。 | K.M.K/KK-ML25K.M.K/KK-MGL25K.M.K/KK-MGP25Acoustic Percussion/AN-AB2 |
| シロフォン | 明瞭な音程感が得られるもの。硬すぎる、余韻が長すぎるものよりもスタンダードな音色。 | Majestic/MJ-X6535H | 軽やかで明るい音色が得られ、しっかり鳴らしても痛い音色にならないもの。 | Acoustic Percussion/AN-HBX2SAcoustic Percussion/AN-HBX3S | |
| トライアングル | シンプルな明るい音色で、トレモロが綺麗に繋がる楽器。 | STUDIO49/SD-Ti3K.M.K/KK-TCS812N | 楽器のサイズに適しており、響きと打音のバランスがとれるもの。 | K.M.K/KK-TB4K.M.K/KK-TB5GROVER/GV-TBS |