課題曲 Ⅰ

祝い唄と踊り唄による幻想曲

(第34回朝日作曲賞受賞作品)
作曲:杉山 義隆

01

楽曲について

課題曲Ⅰ祝い唄と踊り唄による幻想曲
杉山義隆

レッスン執筆者

やまぐちだいすけ

山口大輔

福岡県久留米市出身。福岡第一高等学校音楽科、東京音楽大学打楽器科を卒業、同大学院科目等履修生を修了。打楽器・マリンバを菅原淳、久保昌一、藤本隆文、岡田眞理子、田代佳代子の各氏に師事。エリザベト音楽大学非常勤講師、福岡第一高校音楽科非常勤講師、パーカッシヴフォースメンバー。

ABOUT THE SONG

楽曲について

この曲は作曲家の思いが詰まった曲だと感じました。出身地の民謡を使用したり、人数が少ない団体でも演奏できるように管楽器は2パートずつで書かれていたり、 solo の部分も soli で演奏できたりと、曲に対する工夫が細かいところまで感じられます。

特に打楽器は4パートながら、最初から最後まで大活躍するように書かれていますね。これこそ打楽器パートに対する愛ではないかと考えます。全体のアンサンブルがシンプルな中で打楽器が効果的に使用されているので、パート内での練習だけでもとても有意義な時間が過ごせると思います。

楽器の選択、マレットの選択、パート内でのバランスなど、各団体の工夫がたくさん感じられる曲になることでしょう。打楽器から音楽作りをしてバンドの中での存在感をアピールしましょう。

02

演奏へのアドバイス

課題曲Ⅰ祝い唄と踊り唄による幻想曲
杉山義隆

PERCUSSION 01
※本文中の【 】内の記号は楽譜の練習番号、[ ] 内の数字は小節番号を示しています。

SUSPENDED CYMBAL

サスペンドシンバル

冒頭ではこの曲の空気感を作る大事な役割です。管楽器のバランスを超えないように気をつけたいのですが、音の発音が聞こえてくるととても効果的だと思います。
【B】では祝い唄の部分の頂点に出てきます。伴奏と同じリズムで入りますが、気持ちとしてはメロディを意識しましょう。

曲中での出番は2音ですが、叩くポイントを変えたり、マレットを変えたり、楽器の大きさを変えたりと様々な工夫ができると思います。

SLEIGH BELL

スレイベル

日本の神楽鈴のようなイメージですね。
[3]、[42]~はソロのように。[18]はメロディを呼び込むように。その他は伴奏に色付けするように演奏するとよいと思います。音のスピード、音の長さを意識してみましょう。

TIMPANI

ティンパニ

踊り歌で大活躍のティンパニです。
まずセッティングをチェックしてみましょう。速いパッセージを演奏する際のセッティングは、非常に大事な要素となってきます。図のように奏者に合った距離感、楽器との幅を知れるとよいですね。構えただけで自然と思ったポイントにマレットがくるようにするためにもセッティングは大事です。

マレットの選択も重要になってくると思います。発音だけではなく響きも伴うようなマレットを選択できると良いですね。また、音量変化とともに叩くポイントを変化させると良いと思います。叩くポイントで発音や音色、響きがとても変化します。常に同じポイントを叩くのではなく、場面毎に変化させていけるとよいですね。細かいパッセージの時にはどこが良いのか、単音ではどこがよいのかなど楽器とマレット、自分の奏法と組合せて研究してみましょう。

そして手順です。RL交互で演奏できればよいのですが、音の使い方と変拍子でそうはいきません。どこかでRRやLLのようなダブルを使わなければ演奏することが出来ません。これは奏者によって演奏しやすい手順があると思いますので、自然な流れになるような手順を考えてみましょう。

【N】からは16分音符を含むパターンに変化しています。この16分音符をトムと合わせてアピールできると、エンディングに向かっていくニュアンスを出すことが出来ると思います。

PERCUSSION 02
※本文中の【 】内の記号は楽譜の練習番号、[ ] 内の数字は小節番号を示しています。

XYLOPHONE

シロフォン

祝い唄では伴奏、踊り歌ではメロディのキャラクターを意識してみましょう。
シロフォンだけの部分は[42],[43]しかありません。他の部分は管楽器の誰かと一緒ですので、まずはどのパートと一緒かを調べて、バランスや音色を考えていきましょう。

冒頭は、この曲でも多用されている2度の音です。この2音(C.D)が同じバランスになると良いと思います。[17],[22]はクラリネットと一緒です。クラリネットにはテヌートとスタッカートがありますがシロフォンにはありません。書いてはありませんが、同じようなニュアンスを出せるように意識してみましょう。

[28]はフルート、トランペットとともに f です。このリズムがバンドの中から明確に聞こえたいので、積極的に演奏してみましょう。

[42],[43]はp,ppですが、音程のある楽器はシロフォンしかいません。あまり弱々しくならないで、質感をしっかり出すイメージで演奏するとよいと思います。

踊り歌ではほぼメロディです。基本的に上の声部が明確に聞こえてくるバランスをとりながら演奏できるとよいでしょう。課題曲の音域制限でトランペットが主旋律とは違う音へ変わる箇所がありますので、木管とともにシロフォンが主旋律をしっかりアピールできると良いですね。

GLOCKENSPIEL

グロッケン

【I】からは木管のメロディの途中から、【L】からは木管と同じメロディに書かれています。木管だけのアンサンブルに、グロッケンの音が色付けをするようなイメージが良いと思います。

Percussion2,3のグロッケンはさまざまなマレットを試せるとよいですね。そのサウンドが、バンドの個性や魅力に繋がってくると思います。

PERCUSSION 03
※本文中の【 】内の記号は楽譜の練習番号、[ ] 内の数字は小節番号を示しています。

GLOCKENSPIEL

グロッケン

冒頭はこの曲で多用されている2度音程から始まります。しっかりとアピールしつつ、木管とのバランスを意識しましょう。

Aからはメロディ(歌)です。木管楽器と一緒にフレーズを感じ、息の流れがあっているような演奏になるとよいですね。

CONCERT TOM

コンサートトム

この楽曲は2つのトムトムが使われています。トムトムには多くのサイズ(8〜18インチ)がありますが、どのサイズを組合せるかでバンド全体の響きにも影響してくると思います。まずは楽器選択にこだわってみましょう。
そしてセッティングです。2音なら横並びで演奏する方が多いと思われますが、今回の曲で出てくるパターンであれば縦並びでもよいかと思われます。

まず[42]で登場しますが、【D】からのリズムと拍子は踊り歌のスタートを切る大事なパートです。 p ですが積極的に演奏しましょう。

【E】のようにティンパニと一緒に演奏する場面はバランスに注意しましょう。ティンパニの音程がきちんと聞こえるバランスが良いと思います。

【G】,【H】はトムトムがベースラインのキーポイントになるので、木管低音パートとともにリードしていきましょう。【K】以降でトムトムだけリズムが違う箇所(16分音符など)が出てきますので、そこはアピールして今までと違う質感を作りたいですね。

[145]から[148]にかけてのアッチェレランドの部分は、トムトムが1番細かいリズムを演奏しています。みんなをリードするつもりで積極的に演奏してみましょう。

PERCUSSION 04
※本文中の【 】内の記号は楽譜の練習番号、[ ] 内の数字は小節番号を示しています。

VIBRAPHONE

ビブラフォン

管楽器とのバランス、そしてマレット選びが大切になってくると思います。大事な和音の役割があり存在感をアピールしたいので、発音と音色がしっかりと感じれるようなマレットとバランスを。

motor onの指示も書いてあります。祝い唄の部分はテンポと管楽器の音のスピードを考えて決めると良いと思います。今回はモーターの回転数は速いよりはゆっくりの方が良いと思います。

BASS DRUM

バスドラム

なんとこの曲で使用されたのは1音です!祝い唄で1番盛り上がる場面でこの1音を書いた、作曲家の思いを奏者なりに考えて演奏してみましょう。

SUSPENDED CYMBAL

サスペンドシンバル

【E】以降のサスペンドシンバルは、金属的な響きを出すことに加え、管楽器の音の長さを合わせる大事な役割をもっていると考えます。そのため、音の処理を意識しましょう。
マレット等の指示はありませんので、マレットやスティック等いろいろ試し、雰囲気やイメージに合ったものを選びましょう。

TAMBOURINE

タンバリン

【G】〜【H】で伴奏として出てきます。トムトムのビートとともに、この場面の拍子感をしっかりアピールできるとよいですね。ジングルの音は歯切れが良いほうがいいと思います。叩き方を意識することも大事ですが、楽器を持っている方の手もサウンドに影響してきます。楽器の角度、握る強さなどいろいろ試してみましょう。
小さな音を演奏する時に、ジングルと楽器の関係が分かると音が遅れたりしなくなると思いますので、演奏時に楽器がどのように動くかを研究してみましょう。

ワンポイントアドバイス

タンバリンの「時差」を検証!

タンバリンは楽器の構造上、叩いてからジングル(鈴)が鳴るまでにほんの少しですが「時差」が生じます。どのくらい遅れて音が出るのか、スローモーションで検証しました。

WOOD BLOCK

ウッドブロック

【K】〜【M】はタンバリンと同じような音形で出てきます。リズムは似ていますが場面の雰囲気は変化していますので、ウッドブロックが曲の質感を変化させる大事な役割です。ウッドブロックは音が通るので、マレットやスティック等でバランスの良い音色を作りを意識しましょう。楽器も高低の差がある物が良いと思いますが、トムトムと同じで、さまざまな組合せでバンドに合うサウンドを選択しましょう。

[108]はティンパニ&トムトムとともにソロのように。【L】はトランペットと同じリズムですので伴奏の役割と、場面ごとにキャラクターを変化できるとよいですね。

03

楽器へのアドバイス

課題曲Ⅰ祝い唄と踊り唄による幻想曲
杉山義隆

サスペンド
シンバル
アドバイス/楽器 インチが違うと印象が変わりますので17〜19インチの中で選べるとよいですね
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アドバイス/マレット類 ヘッドが小さく発音がクリアな物がよいでしょう
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スレイベル アドバイス/楽器
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ティンパニ アドバイス/楽器
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アドバイス/マレット類 ヘッドが小さく発音と響きがともなったものがよいでしょう
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シロフォン アドバイス/楽器
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アドバイス/マレット類 木質のヘッドで重さがあるものがよいでしょう
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グロッケン アドバイス/楽器
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アドバイス/マレット類 柔らかいものと硬いものと使い分けるために2種類はあったほうが良いですね
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コンサートトム アドバイス/楽器 この曲は指揮者の好みによってさまざまな組合せが考えられます。あまり口径の差がありすぎたり近い口径にならない方がよいと思います。口径が小さめの10.12インチ、大きめの14.16インチなどが考えられます
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アドバイス/マレット類 ヒッコリー材の少し重さがある方がよいと思います。またはハードフェルトがついたスティックも候補に入ると思います
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ビブラフォン アドバイス/マレット類 木綿巻でミディアムあたりのものがよいでしょう
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バスドラム アドバイス/楽器
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アドバイス/マレット類 響きがしっかりと感じられるもの。ミディアムもしくはソフト
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タンバリン アドバイス/楽器 音が明るく音の歯切れがよいもの
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ウッドブロック アドバイス/楽器 高低が程よく感じれるもの。大きさや音程が近くない方がよい
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Ron Vaughn/
RVN-W1.5 & RVN-W3

GROVER/
GV-WB7 & GV-WB9
アドバイス/マレット類
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