スペシャル対談:
「打楽器奏者と椅子」
(取材・写真:内山洋樹/2014.8.24)
椅子は背の低い人のため?
K: 高さを測ってみましょうか。 深町さんは体重をかけた状態で70cmくらいですね。荻原さんは… 体重かけた状態で77cmくらい。
深町: そうか、もうちょっと身長の低い人がいたら良かったのにね。松美身長いくつ?
荻原: 171cmです。
深町: そうか俺と同じくらいだね。もっと低い人、155cmくらいの人で試すとわかるんだけど。
K: 身長の低い人に取ってティンパニの椅子というと、やはり身長を補うという役割なのでしょうか?
深町: 僕の考えは、椅子を使って、お尻と両脚の3点を使って身体を支えるというのが重要なんです。これまでの経験で言うと、ヤマハくらいの高さなら152cmまでの人だったら、椅子を使えば両足付けて、重心を安定させて演奏できます。ちょうど自転車の信号待ちの時の体勢(両足がつま先立ち)と同じ。あの状態を作れれば、演奏には支障無いです。今の弟子に150cmという人がいて、その人でもぎりぎり何とかなりました。
深町さんの理論では、背の低めの人が椅子を使用する場合でも、演奏時は両足とも床に付く高さに設定する。「自転車の信号待ち」のようなつま先立ちでも可。椅子が重心を決める。立奏でちょうど良い人でも椅子を使う意味は大きい。
荻原: 僕なんかは、まあ、立ってできりゃいいかな、ってのがあるんですよ。基本的には。基本的な考え方としては立って演奏すれば、力も伝わるんじゃないかなって気がしてるんですよね。ただ、演奏会長いですからね。ずっと立ちっぱなしは辛いし。あと、音替えの時はとにかく便利ですよ。片足立ちではふらふらしますし。椅子があれば快適に操作できます。 まああとは、実は低い楽器の方が多くて、ラディックだとちょうどいいんですが、ヤマハとかプレミアとかは私にとっては低すぎるんです。そう言う場合は椅子の高さを低くして、打面に対して身体や腕がちょうど良い角度、高さになるように調節しますね。若干のことですが。
深町: 逆に、身長が高い人、例えば170cmを越えるような人とかたまに中学生でもいるけど、立って演奏してると腕伸ばして手首がこんな風に曲がっちゃうような子とか、結構多いよね。
荻原: そうそうそう、結構コンクールなんか見ててもそう言う人多いですよね。そう言う人にこそ椅子は良いと思いますね。